1 清水町の農業
清水町は、北海道の東南部にある十勝平野の西部に位置し、町域の西側を南北に走る優美な日高山脈から東へと、緩い傾斜面をなす平坦部が十勝川をまたいで美蔓大地へと延びており、十勝川の流れを中心として南北に広大な広がりを見せる大地と自然環境に恵まれ、その立地条件を活かした大型酪農と、小麦、豆、てん菜、馬鈴しょの4作物を中心とした畑作、さらには畜産を一部取り入れた大規模土地利用型農業を展開してきた。
しかし、近年は農畜産物価格の低迷や輸入自由化などの影響により、従来の作物に加えて一部で野菜などの高収益作物の導入やコスト低減を図るための適正規模への移行も出てきている。
2 清水町の農業構造と課題
清水町には、現在約14,000haの耕地があり、1戸あたりの平均耕地面積は26haを越えて十勝管内の平均を上回っており、昭和35年対比で約3倍、昭和45年対比でも2倍以上と急激に拡大している。
しかし、この間に農家戸数は急減しており、これまでの作付規模の拡大は主に離農した跡地の購入や借入れによるものであった。
近年においても、高齢農家の後継者不足による離農は増加傾向にあって、農家数の減少は現在も続いている。現下の厳しい農業情勢の中で、清水町の後継者不在農家は全農家の約3割にも及んでおり、今後これらの農家を中心とした経営の縮小と離農が進むことが予想されることから、それに伴う農地の流動化が一層進む可能性が高まっている。
清水町の農業は、酪農と畑作を主体として大型化・近代化を進め、生産性の向上を図ってきており、特に酪農においては乳牛飼養頭数、牛乳生産量とも十勝管内の最高の位置にあるなど、着実に今日の姿を築き上げてきたが、今日一層厳しさが増した農業環境にあって、存亡自体が危ぶまれる極めて憂慮する状況に置かれている。このことから、今後は、土地利用型農業の展開を一層推進することと合わせて、農業者の自主的な創意と工夫により画一的な面積拡大を避け、地域の特性に基づいた多様な経営形態を混在させ、地域的複合あるいは複合的経営による有機的結合機能を実践することで、土地・労働・資本の効率を高め、地域農業の発展を図る必要がある。
3 農業経営基盤強化の促進に関する取り組み
これらの現状と今後の見通しをふまえ、清水町の農業がこれから一層職業として選択できる魅力とやりがいのあるものとなっていくためにも、概ね10年後の将来を見すえた農業経営の目標をつくり、効率のよい安定的な農業経営体の育成を図っていくこととする。
具体的には、地域において先進的な営農を行っている農業経営体や地域の他産業に勤める人々と同程度に相当する年間農業所得(一戸あたり7,000千円)
と年間労働時間(主たる従事者1人あたり1,800〜2,200時間)を実現していき、さらに、この目標を実現できる農業経営体が本町のほとんどを占めるような、それぞれの農業経営体の実状にあった多様な農業構造を確立していくことをめざすものとする。
4 農業経営基盤強化の促進に関する具体的手法
清水町は平成3年に策定した「第三期清水町総合開発計画」に沿った、豊で活力のある農業の実現をめざした多様な農業経営の展開を促進することとし、それぞれの経営体の自主的な努力を助長するために、農業経営の発展に意欲的な取り組みをすすめる経営者へ、それを支援する農業経営基盤強化促進事業とその他の措置を総合的に実施する。
そのために、清水町は農業委員会、
農業協同組合、農業改良普及センタ−などと、より緊密な連携を図りながら、農業者の主体的な農業経営改善計画の作成や地域農業の発展方向の選択判断などに資するよう、濃密指導を実施する。
また、規模拡大農家への農地の集積を円滑に行うため、農業委員会内に設置している農地銀行について、各集落の相談窓口としている農地流動化推進委員の活動を一層強化し、地域からの情報の一元的収集や農地の出し手と受け手の利用権設定を進めていくなど、積極的な活動を図る。
さらに、規模拡大農家や高収益作物を導入する農家にあっては、集約的な経営展開の助長及び経営改善のため、新技術の導入、新規作物の導入の他、実質的な作業の拡大ができるよう農作業受委託などを活用した農業経営を促進するため、コントラクターの育成や作業受委託事業などの生産部門における分業体制の整備を推進するとともに、雇用受け入れのための労働条件の整備、農業情報システムの整備拡充などを合わせた総合的な地域農業支援システムの構築を目指す。
生産組織については、オペレーターの育成や受委託の促進をはかりながら、地域や営農の実態に応じた生産組織への育成を推進し、体制が整ったものについては、個別経営体も含め、経営面や税務面、福利厚生面などにメリットの大きい法人化への誘導を図る。
また、農村地域全体としては、2種兼業農家や土地持ち非農家と効率的かつ安定的な経営体との連携を深めていくことが重要となるため、補助労働力の提供などの役割分担や遊休農地などの地域資源の有効活用、さらには農村コミュニティの維持発展といった、地域全体として発展に結び付くような連携を図る。
特にこれからは、農業経営基盤強化促進法における農業経営改善計画の認定制度を、望ましい経営を育成していくための中心的施策として位置付け、清水町農業経営改善支援センタ−を中心に経営改善に向けた分析・評価・指導等を行うとともに、新規就農者育成と認定、再認定の推進及び制度において認定された農業者に、農用地利用の集積やその他の支援設置について集中的かつ重点的に実施されるよう努力し、各関係機関や関係団体にも協力を求めながら制度の積極的な活用を図っていくこととする。また、新規就農者については清水町農業振興公社、北海道担い手育成センタ−と連携し育成していく。
さらに、経営構造対策事業や土地基盤整備事業など各種事業の実施にあたっても、認定農家の経営発展に反映されるよう事業計画の策定などにおいて十分な検討を行う。
5 農業経営基盤強化の促進に係わる指導体制及び重点指導方針
清水町は、これらの実現に向けた指導体制の充実のため、清水町営農対策協議会などの既存組織を活用しながら町内農業関係機関と一層の連携強化を図るとともに、農業委員会、農業協同組合の担当職員で構成する指導体制を整備し、農業改良普及センタ−の協力を受け清水町農業経営改善支援センタ−を組織し、今後認定を受けようとする農業者・生産組織等やすでに認定を受けた農業者・生産組織等を対象に、経営診断の実施、新技術の導入を含む生産方式や、経営管理の合理化等の経営改善方策の提示等の重点的指導及び研修会の開催等を行う。
また、清水町では依然として規模拡大意欲の高い農家が多いため、適切な資金計画のもとに施設や作業機械への投資が行えるよう指導体制の重点的強化を図ることとし、清水町農業金融制度総合推進会議の効果的開催と農業協同組合の融資担当者による資金計画に係る研修、濃密な指導を実施する。